議員のエゴの顛末
2017年11月13日
全員協議会で、庁舎、市民会館、田無公民館、中央図書館を、今後どうしていくのか、執行部から説明がありました。
議員の質疑を聞いていて思ったのは、つくづく公共施設の建て替えは、議員のエゴで、右往左往するものだということでした。
昨日も、田無公民館と中央図書館がお古で気に入らないと言っていた議員が、たった1人ですが、いました。
この議員が、この公民館図書館のお近くにお住まいで、日常的に利用する施設だということは、単なる偶然でしょうか?
見出しの「議員のエゴ」ですが、長くなりますが、以下、ご説明します。
公共施設、みんなの施設、理想と現実。 「長く、大切に使って」
公共施設は、理想を言えば、市内すべての地域からアクセスが良く、また、常に最新の施設であることが望ましい。
しかし、実際には、市内すべての地域からアクセスが良いわけがないし、建てたばかりは、新しくて素敵な施設も、10年もすれば陳腐な普通の施設になり、20年もすれば老朽化が気になり始める。
また、建設している最中は使えない。短くとも1年、場合によっては数年間かかります。その間使えないのはかなり不便。現地建て替えなら、その間施設は閉鎖せざるを得ない。
なので、最近は、公共施設は、安易に建て替えることはせずに、大規模な改修や長寿命化といった手法が取られることも多い。
大規模改修や長寿命化は、新築に比べてコストが若干割安なこともあるが、それよりも利用を続けながら、状態の良い施設に生まれ変わることができることが最大なメリットだ。
つまり、繰り返しになりますが、公共施設は、利用者が入れ替わって行くと言う特徴があるため、出来るだけ良い状態を保ち続けることが理想。
しかも、財政難の今日、できるだけコストパフォーマンスの高い方法で、良い状態を維持したい。
なので、従前のように、「新しい施設を作りました、放ったらかしで古くなりました。建て替えましょう」ではなく、こまめに手を入れ、お金をかけ、状態を保つことが求められています。
でも、増築や改築だって、お金がかかる。 場合によれば、新築よりコストが高くなることも
ただ気をつけなければならないのは、コストと、施設の仕様変更がトレードオフの関係にあると言うことだ。
つまり、増築や改築を行うと、やり方によってはコストが下がらない、場合によれば、新築よりコストが高くなることさえある。
コストを抑えるには、あくまでも間取り変更は最小限にとどめるに限る。
更に、状態があまりに悪い施設だと、コストはそれなりにかかる。
間取りに不満があるなら、いっそ建て替えたほうが、最終的にコストパフォーマンスがよくなる場合も、当然あります。
「損益分岐点」と公共施設5施設の今後
私の認識では、(おそらく行政関係者の常識でもあると思いますが)、個々の公共施設それぞれで、建て替えか改修かで、「損益分岐点」がある。
なかなか説明が難しいのですが、費用と効果の見合いというところでしょうか。
この「損益分岐点」に基づき、
保谷庁舎→建て替え
田無庁舎→改修して使用続行
市民会館→建て替え
田無公民館→改修して使用続行
中央図書館→改修して使用続行
という方針は、実は3年前には、ほぼ決まっていました。
2庁舎体制の解消ができるもっとも格安な案だった当初案
問題は、2つある庁舎は一つにしたい。公共施設は、これからのことを考えると出来るだけ複合施設にして融通性を高めたい。維持管理コストを安くしたい。
などなどのニーズを踏まえ、これら公共施設5施設の今後について、最初の案はこうでした。
1 市民会館を除却して、新たな公共施設を建て、市民会館、田無公民館、中央図書館の複合施設に生まれ変わる。
2 空いた中央図書館と田無公民館建物は、手直しして、庁舎としてあと10、ないし、20年使う。
3 保谷庁舎を除却する。
というもの。
市民会館は、田無駅北口の不便な場所にあるのか?
しかし、これでは、「田無駅北口の不便な場所にある市民会館場所に、田無駅南口の田無公民館、中央図書館は追い出される」という理由で、お気に召さない議員が多く、この案は頓挫しました。
しかし、中町在住の私から見れば、「所詮、田無駅の南口と北口じゃない。どっちだってそんなに変わらないよ。それより、市民のみなさんが利用する施設が、利用できない期間ほぼナシで、新しい素敵な施設に生まれ変わることができていいんじゃない?」と思います。
庁舎はお古で十分だと。
今でもベストの案だと思っています。
これを潰したのは、場所にこだわる、一部の議員。
その当時、私は、場所が悪い、悪いと言っても、西東京市全体から見れば、誤差の範囲ではないか。
そのことよりも、市民のみなさんが使う施設を最優先して更新すべきではないか。
と申し上げました。
しかし、聞く耳持たずが多数を占め、頓挫。
第2案はこうなった
結局、
保谷庁舎→建て替え。ただし、場所は田無庁舎隣で、田無庁舎の法定耐用年数に合わせられるよう、リース方式で。
田無庁舎→改修して使用続行
市民会館→建て替え。ただし、民間資本での建て替え、しかも、収益施設との合築。いわゆるPPPというものです。しかも、規模は、現状の1/3程度に縮小。
田無公民館→改修して使用続行
中央図書館→改修して使用続行
市民のみなさんが利用する施設を差し置いて、庁舎を更新することになりました。(涙)
保谷庁舎の改修費は天井知らず
保谷庁舎を手直しして使うという選択肢は、費用対効果で、正直、税金の無駄使い。
普通に15億円、耐震対策をすれば更に億単位のコストをかけて、あの庁舎を維持する理由はない。
もし、大規模改修ということになれば、40億円。プラス、耐震改修費用。(耐震改修費用は、改修費用とは別物。これを混同している議員も多い。)
もし、建て替えるなら、田無庁舎に隣接した方が良い。保谷庁舎現地建て替えでは、2庁舎体制は、結局、解決できない。
一方、第2案はリース方式で、初期投資がない。
もちろん家賃が発生しますが、田無庁舎があと15年もすれば法定耐用年数に達するので、それまでは賃貸でというのは選択肢としては良く使われる手。
答弁によると、躯体など安全面でのコストは落とさないが、壁などの仕様でコストカットを図るそう。
冒頭の話に戻りますが、公民館図書館がお古云々は、執行部が決めたことではなく、議会の多数意見に従った結果、そうなったもの。
何を今更、文句言う?